Beyond the Void.

Friday, April 10, 2009

これは 始まりの物語。

伝えておこう
これだけは 君に

けして忘れてはいけないこと
けして失ってはいかないこと

どれだけ時が経ったとしても
例え埋もれてしまったとしても

それは きえることも変わることもない

たった一つの真実は
永遠に在り続ける―

二つずつの
手足を持ち
それぞれに
5本の指

2本の足で
立って歩く

歌を歌う
神がいた

耳も尾を持ち
翼生やした人間を
妻に娶りし神

やがて人間は身ごもって
虹色の卵を産んだ

虹色の卵
あまりに陽射しを
反射して
あまりにも眩しくて

人間は思わず
目を背け

卵はその隙に転げ落ち
雲に当たって砕け散る

手の中から転がる「種」

人間の歌で
目を覚まし
芽吹いだ大地が広がって

紡がれるのは
始まりの歌

「虚ろ」―
それはこの世界、祇沙に突然起きた
森の中心に拡大している現象だ。

原因はおろか、その実態もまだ解明されていない。
ただわかっていることは―
僕達人間は「虚ろ」に冒されたものには
触れることすらかなわないということだ。

触れれば、鋭い刃で切り裂かれたような傷を負う。
「虚ろ」は植物も動物も、
この世界のありとあらゆるものを侵食する。
だけど、外観からは判断することができない。

つまり、普段口にしていた果実を手にした瞬間、
手が血だらけになっている……ということも
在り得るのだ。
森は飛び回っているウサギや鳥達も
すでに冒されている場合がある。
森の恩恵を受けて生活する僕たち人間に
とって、これは深刻な死活問題と言えよう。

「虚ろ」の進行は
誰にも止められない。
人間はただ
日々を脅えて暮らすしかない。

感情
酷く 重くて 冷たい 
流れ込んでくる。
「黒き耳、黒き尾……
そして黒き痣持つものが現れしとき、
世界に禍が降り注ぐ-」

12:01 AM